秋北デニム工場 工場長 田山文雄さん
『Lee/kurkku』PROJECTを完成させた、秋田の秋北ジーンズ。
『Lee/kurkku』の製造は、すべて秋田県大館市にある、秋北ジーンズ工場で行われています。秋北ジーンズは、Leeのデニムを作り続けて24年。54名の従業員が働く、国内屈指の技術力を誇るデニム工場です。
『Lee/kurkku』の製造では、キーポイントとなる、生地の裁断から縫製までを行い、最終的に製品として完成させる役割を担っています。
Leeのデニムを製造する数ある工場のなかで、なぜ秋北ジーンズを選んだのか、Lee Japanの生産企画を担当する荻原圭太さんにお伺いしたところ、「小ロット多アイテムであるLeeの生産を支えてきたのは、この秋北ジーンズ。まったく新しい試みである『Lee/kurkku』を実現するためには、高い技術とモチベーションを持っている秋北ジーンズにお願いするしかないと思いました」とのこと。
その秋北デニムの工場長である、田山文雄さんに「Lee/kurkku」が完成するまでのお話をお伺いしました。
まず、『Lee/kurkku』PROJECTの取り組みについて初めて聞いたときの印象を聞いたところ「どこもやったことのない画期的プロジェクトで、大変だろうなと思った」と率直な答えを頂きました。しかし、お話を聞いているなかで、この「大変」という部分には、ひと言では言い表すことができない様々な考えがあったことを知りました。
この『Lee/kurkku』PROJECTは、構想〜実現まで1年。これまで誰もやったことのないものを世に送り出す割には、非常に短い期間で実現できた取り組みのようにも思えますが、製造のために田山さんに与えられた期日はなんと10ヶ月。工場に入る前のテストが遅れ、期限がどんどんと短縮されてしまうなかで完成させなければいけないというのは、大変なミッションだったのです。
『Lee/kurkku』を製造するには必要な工程が38もあり、その中にも数えきれない問題が山積みでした。
裁断前の『Lee/kurkku』パーツ
パーツデータに合わせて自動で裁断
最も苦労した部分は、最初の工程でもある裁断だといいます。通常のデニムは大きな生地からパーツをつくるため、一色に染められた生地を一気に50枚重ね合わせて裁断するのが一般的です。
しかし、『Lee/kurkku』の特徴は、INKMAXで施されたプリントです。一つひとつプリントされたパーツを緻密に裁断する必要があり、重ね合わせた生地にズレが許されないという、これまでとは全く違った裁断を施す必要がありました。
PATANNERの脇山泰弘さんによれば、「そもそものプリントで使うCADと工場で裁断するCAD(製図を行うシステム)とCAM(製造を支援するシステム)の互換性が違い、裁断するためのシステムを作動させるだけでも非常に難しい調整が必要で、関係各社で何度も集まり試作した」とのこと。
この裁断の工程だけでも、プリントデータと裁断が合わず、システム・裁断機のテスト&エラーの繰り返しを行うことで、
『Lee/kurkku』のための新しい裁断方法が生み出されました。
1枚の布からパーツが切り出される
切りとられたパーツ
もちろん、問題は裁断だけではありません。プリントされた柄に合わせて縫い合わせなければいけないという縫製の部分でも問題もありました。
『Lee/kurkku』はパーツごとにプリントされたもの。長年はき続けられた、ヴィンテージの風合いを再現しており、デニムの“あたり”がプリントで再現されています。この“あたり”がキレイに縫い合わされていないと、『Lee/kurkku』の持つ良さが引き出せません。
ジーンズの縫製は、大きく小物→後身→組立という流れで進んでいきます。
各工程のなかで、他のデニムとは違う『Lee/kurkku』ならではの、より高いレベルでの縫製技術が必要です。デニム工場のなかでも非常に厳しい品質を設定している、Leeと秋北ジーンズ。両方が満足できるレベルに到達するために試行錯誤がありました。しかしこれらの問題をクリアできたのは、秋北デニムで長年多彩なアイテムを手がけてきた、ベテランオペレーターの力があったからだそう。
縫製のズレを確認するための試作デニム
高度な作業をすばやくこなしていく
Leeの小ロット多アイテム生産を支え続け、新しいことにチャレンジし続けた秋北ジーンズの本領がここでも発揮されました。
完成間近の『Lee/kurkku』
『Lee/kurkku』が環境対策として意味を成すには、大量に作れることが重要。少ない量を作っていても、環境に対して良いインパクトは与えられない。大量に作れてこそ、本当の環境対策になる」とLee Japan ディレクターの細川秀和さん。
工程の問題を解決した秋北ジーンズですが、1日の生産数は思ったよりも伸びなかったといいます。3サイズ・9パターン、合計27種類にも及ぶアイテム、さらにデニムそれぞれのパーツとなると、膨大な量のストック管理が必要となります。
しかし、生産を続けるにつれ、そのクオリティを満たす製品を短時間で仕上げることができるようになり、日々生産数は上がっていきました。
ここまできて、やっと工業製品として出荷できる体制が整ったと言えるのです。
ここまで、『Lee/kurkku』が生まれるまでにどのようなストーリーがあったのかをご紹介しましたが、この画期的な製品にチャレンジできた背景には、Leeを支える日本の工場・秋北デニム工場の哲学があったからだと感じました。
冒頭でも少しご紹介しましたが、秋北デニム工場があるのは秋田県大館市。創業24年、社員数は54名の工場です。ここに勤めるオペレーターの方々はすべて社員で、近隣の方々がほとんどです。創業当初から働いている方も多く、人を大切にしている工場で、地域の雇用にも貢献しています。
『Lee/kurkku』をこの短期間で工業製品として完成させることができたのは、秋北デニム工場が大事にしてきた“人”“工夫されたオートメーション化”“クオリティ”があったから。
Lee Japanディレクター細川さんによれば、「品質の高さを追求するということは、製品の品質はもとより、工場で働いている方の労働環境まで良くしていくということにつながります。これがLeeとしての企業コンプライアンスに対する考え方で、ここまで含めてはじめて高い品質と言えるのです」
オートメーションと手作業がうまく組み合わされたライン
それぞれ異なる工程をこまやかに仕上げるオペレーターの方々
完成した『Lee/kurkku』をチェックする田山さん






