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アカデミックレポート

2011年12月~2012年1月

広陵西小学校の学級活動におけるPOC


広陵西小学校の5年生の皆さん

「世界には貧困や正しい知識がないことにより、自らの健康や時刻の自然を犠牲にして働く人がいる。インドのコットン農家の人々もそうだ。生である衣服に実際に袖を通す私たちは、あまりにもそれらについて無知で無責任でいる。現状を変えようと努力する人々や企業がこの日本にあることを知り、国際社会の一員として自分たちにもできることを考え、世界の人々が気持ちよく共に生きていこうという思いを育みたい」

奈良県広陵西小学校で5年生を担当する高田元気先生は、世界の諸問題を学ぶ題材にプレオーガニックコットン(POC)プログラムを選ばれました。奈良県でも人口が多く靴下産業で有名な北葛城郡広陵町。広陵西小学校は全校生徒600人の、伝統のある小学校です。

POCを知ったきっかけ

POCを知ることになったきっかけについて、高田先生にお聞きしてみました。

「先輩の先生から話を聞いたのがきっかけでした。POCのウェブやPOCの紙芝居を見て、改めて『服を着る』ことへの感謝の気持ちをもつ大切さを感じました。またインドの現状や平和への活動、それを支える取り組み・・・これらを子どもたちに伝えていきたいと思いました。社会科では環境問題、道徳や総合学習では国際理解を学びます。子どもたちがすごく興味をもってくれたので『よし!やってみよう!』と動き出しました。」 

高田先生の問題意識

「私たちは沢山の製品を使って生活しています。その中でも特に衣服というのは関わりが強く毎日袖を通しているもの。児童にとっても制服や体操服といった衣服と、学校生活を共に過ごしている。そんな衣服のルーツを辿ると、沢山の人が苦しむ現状があります。綿花を生産する過程での水質汚染や農薬散布が影響での健康被害・土壌汚染、農薬を大量に買うことで借金に苦しんだりしているのです。」 先生の問題意識が基となり、学級活動の授業を計画されました。

子どもたちへの願い

今回の学級活動における先生のゴールは三つ。①国際社会の諸問題について考える機会にする、②子どもたちが衣服を着られることへの感謝の念を持ち、自分たちにできることを考え実行する一歩にする、③学びや考えを纏めて発信する活動を通し、自分たちだけでなく生産者・消費者・地球が共生することを実感してもらう、というゴールです。

「子どもたちには、インドで苦しんでいる人がいること、それを支える取組が行われていることを伝え、少しでも行動に移す気持ちをもって欲しいと思っています。そして、そんな授業を展開していきたいと考えています。」と高田先生。どのような授業が展開されるのでしょうか。

授業内容「あなたが袖を通すその服は?」

まず始めに、身近な食べ物を通して生産者への意識を向けるため、「エビがどのように食卓に並ぶか」を考える時間が設けられました。ここで児童の皆さんは、日本の食生活の裏側にある開発途上国の環境破壊や労働条件、子どもの権利侵害について学びます。

次に、「あなたが袖を通すその服は?」 いよいよコットンを学ぶ時間です。本物の綿花や地図で生産地を確認し、写真で農薬の危険性や健康被害についてのご説明、オーガニックの意義、そしてオーガニックへの移行支援としてのプレオーガニックコットンの意義について、POCのアニメーションを使ってお話されました。

子どもたちによるアクション

児童の皆さんは授業での学びを纏め、それを発信するためにオーガニックコットンやPOCに関するポスターを作成しました。さらにポスターの校内掲示をお願いするために校長先生に手紙を書きました。

~校長先生への手紙~

私たちは衣類について勉強し、
オーガニックコットン・プレオーガニックコットンというものを知りました。
綿は服などに使われています。綿は綿花からとれます。
綿はすごく重要で、それがないと服などが作れなくなります。
しかし綿花を作る過程で、農薬の影響により健康に被害が出たり、
借金を抱えたり、土に栄養がなくなったりすることがあります。
オーガニックコットンは、三年間、農薬を使わずに作ったコットンです。
農薬を使うコットンよりオーガニックコットンは時間がかかって3年間の間、
収穫量が少なくなります。そのため、給料が少なくなります。
そこで、プレオーガニックコットンが考えられました。
プレオーガニックコットンプログラムは、オーガニックコットンを支えるために作られたプログラムです。
オーガニックコットンになる三年の間、農家の収入が減るので、
それを支えるために助けようとするプログラムです。
私たちは、オーガニックコットンとプレオーガニックコットンについて学びました。
その学んだことをポスターで広めようと思いました。
オーガニックコットンが広まれば、コットンを作っている人たちに、
影響がなくなり、環境も良くなります。
僕たちが作ったポスターを学校に貼らせてください。

さあ、みなさんのポスターはこちらです。学びとメッセージをポスターで表現してくださいました。

ポスター1 ポスター2 ポスター3 ポスター4 ポスター5 ポスター6

児童のみなさんの感想

高田先生の授業を受けられた、児童の皆さんの感想をご紹介します。

  • 服が何からできているのか初めて知りました。
  • 服を着ることにも責任があると思いました。
  • (エビの時みたいに)世界には苦しんでいる人がいることを知りました。
  • 自分たちが普通に服を着ている時も、どこかの国で色々な苦労をしているんだなと思いました。
  • 農薬でこんなに被害を受けている人がいるのが悲しいです。
  • 自分たちと同じくらいの子どもが被害を受けているのはかわいそう。
  • 作っている人たちも、(栽培)技術など色々な協力があって作れるのだと思いました。
  • オーガニックコットンやPOCについて親にも勧めたいです。
  • いろんな人に、オーガニックコットンやプレオーガニックコットンを広めたいです。

POCの授業への導入について、先生のご感想

高田先生に、POCを特別活動の題材として導入されたことについてご感想をお聞きしました。

「私たちが安価で衣服を求める裏側にある、環境問題や貧困問題、健康被害など、小学生にとって、すぐに理解するのは難しいと思い、通ずる問題が多い「エビの輸入問題」を取り入れました。「エビの輸入問題」に関しては、社会科などにも登場し、資料等もいくつかありました。「エビの輸入問題」を導入に取り入れたお陰か、子どもたちはコットンの問題もスムーズに現状を理解し受け止め、「おかしい」と感じてくれたようでした。児童の口から「広めたい」という意見が出たことは私自身驚きでした。また普段自分たちが生かされていることへの感謝の念や物を大切にしなければならないという意見も出ました。

色々な問題は繋がっているのだと思いました。 5年生のクラスの実態に合わせて授業を行おうと心掛け取り組み、子どもたちは知り、考え、行動に移しました。この大きな問題にしてみればすごく小さく感じるポスター作りではありますが、こういった活動や思いが、大きな問題を解決していく第一歩だと思い、すごく満足しています。」

高田先生、広陵西小学校の5年生の皆さん

高田先生、広陵西小学校の5年生の皆さん、ありがとうございました。