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アカデミックレポート

2011年10月27日

国際基督教大学(ICU)の講義に参加。


国際基督教大学(ICU)長尾眞文客員教授の「日本の国際開発協力」の授業にお招き頂き、プレオーガニックコットンプログラムについて講義をさせて頂きました。
今回は、「POCプグラムの例を通した商社としての開発プロセスへの関与」ということでしたので、伊藤忠商事でプレオーガニックコットンプログラムを担当する鈴木美穂が講義を行いました。

開発支援における商社の役割

全26回で構成される長尾先生のコースの目的は、日本をはじめ先進工業国と国連による途上国支援の理念や政策について理解を深めること。今回はPOCはクルックと伊藤忠商事の共同プロジェクトですが、特に商社という立場での講義となりました。

まずは2時限目、長尾先生より「日本の国際開発協力の課題:新興途上国との協力関係のあり方は?」の講義。新興途上国の中国、インド、ブラジルの経済社会開発の現状と将来的な成長の可能性や開発阻害要因についての講義に続き、3時限目にインドの事例としてPOCを通した「商社の役割」という視点から講義と質疑応答を行いました。

開発における商社の役割とPOC

自己紹介からスタートし、人材育成や組織開発、国際交流、ソーシャルワーク、開発援助という経歴から商社に繋がった背景についてお話しました。一般的な商社イメージとのギャップに、「どんな講義になるのか?」と皆さんは目を丸くして傾聴してくれました。

ここで、授業の内容を少しご紹介したいと思います。

開発途上国での商社の役割は主に技術移転と資本投下。資金力とネットワークが強みの商社は、ローカル市場のビジネス展開で土地の経済の発展に貢献しています。また労働力の搾取でなく適正な「雇用創出」により、開発途上国の生活レベルの向上に繋がります。近年は、向上する社会意識への対応も大切な課題です。綿花が糸になり製品化されるまでの過程で、労働者の健康が守られているか、児童就労が行われていないか、また労働環境は人道的かどうかが問われています。開発途上国で生産されたPOCの糸を買ってくださる企業や消費者の間でも社会意識が高まりつつあり、糸の調達先を「製造過程で人権や環境を保護する国際基準をクリアした工場」に指定する企業も増えています。POCプログラムでは、POCに関る全ての生産農家の方々の生活や健康レベルの向上の実現に向けて取り組んでいます。

向上する社会意識への対応

学生の皆さんにインドの現状をお伝えするために、国連開発計画(UNDP)の国別データと自らの農村開発の経験から、インドや農村の生活状況について説明。POCプログラムは、インドの貧困層であるコットン農家さんが抱える健康や経済面における様々な課題への解決策であることをお話しました。

インド貧困層の現状

講義の途中には、今年のapbankフェスでPOCTシャツを来場者の方々が着てくださっている写真や、POCブースの写真を公開。今年のapfesに参加された学生の方もいて、一気にみなさんの表情が明るくなりました。

POC商品

さらに「なぜ商社がPOCをするのか?」と伊藤忠の社員にインタビューした時の回答を一つご紹介しました。商社の人たちは新しい仕組みを作ること、そして自分たちが作ったビジネスモデルや仕組みが社会に出ることに喜びを感じています。その気持をバネにして、これからPOCは世界に広がっていきます。

最後に、皆さんへのクロージングのメッセージ。

「世界を変えるのは、企業。」
企業には資本と求心力、行動力がある。企業がどのようなアクションを取るのかが、世界に大きな影響を与えていきます。世界を良い方向に変えることができるのは、企業。

そのTシャツを買うときに、少し考えてみてください

POCは社会との関り合いの中で今後も皆さんに支えられ、世の中を良い方向へと導くプログラムとして成長していかなければなりません。
今後もPOCプログラムとして、世の中を少しでも良い方向へシフトできるように、取り組んでいきたいと思います。

皆さんの声

授業の後に、今回出席された皆さんから、たくさんのコメントとアドバイスを頂きましたので、その一部をご紹介したいと思います。

  • こんなに興奮した講義は初めてです。私も世界を変えるのは企業だと思っています。
  • 「世界を変えるのは企業」という言葉がすごく響きました。企業として今求められる責任を果たし、発信し、周りに影響を与えていくことができたら世界を買える力になると思います。
  • 「開発=ボランティア」と意識していましたが、貧困層を経済システムに上手く組み込んで貧困層を犠牲にしない方法があると知って面白かったです。
  • 前半の長尾先生の授業で「今は金額内容共に国際開発では企業の役割が大きい」とのお話がありましたが、POCの講義を聴いてその意味がよくわかりました。「利益があるからこそ続けられる」というお話に納得しました。
  • 自分の購入習慣など身近な所から貢献できることを改めて知り、私たちの消費行動の影響力を実感しました。
  • ビジネスを通して社会や世界に貢献するという開発協力の形を知ることができました。必ずしも貢献を目的としなくても企業だからできることが沢山あるとわかりました。
  • POCプログラムを通じて生産者側と消費者側が互いに身近に感じられるようになることを期待しています。売り買いだけでなく、相手の存在を意識できれば良いと思いました。
  • 「3年間無農薬」という所に目を向けるアイデアが素晴らしいと思いました。服を買う時はきちんと調べてから買いたいです。
  • オーガニックを推進していくためにも、POCを多くの人に広める事が大切だと思います。「プレ」に目を向ける人が増えるよう期待しています。
  • ものすごく魅力的で面白く、日本国民も協力しやすいプログラムなのに広告性やアピールが少ないのが勿体無いと思いました。
  • 商社は政府等の機関よりも細やかな現地のニーズに沿った支援をしていると感じました。
  • POCへの期待として、これからの世界を担う若者の意識改革や促進という意味で若者向けのブランドともっとコラボレーションして欲しいです。
  • もう少し情報を公開してもいいと思いました。POCがインドの農家の人々の健康の向上に繋がるという事実がもっと広まればさらに消費者も増えると思います。
  • 東北大震災を受けて、国内の援助を優先させるべきという風潮が高まる中、どのような対応を取るのか関心があります。
  • 店頭にPOCの背景を語るポスターを貼るなど、広報活動に力を入れて欲しいです。ミスチルのような著名人との協力やメディアの利用で若年層への認識を広めれば、支援の輪が広がると思います。
  • 利益追求が目的の企業がどのように途上国支援に関るのかわかった。商社のPOCへのモチベーションとして「自分の挑戦したことが受け入れられる喜び」があるというのが印象的でした。
  • POCもオーガニックコットンも値段が高く学生には手を出しにくいので、価格を下げた製品ができると良いです。
  • 国連に入りたかったけれど企業に就職して自由に活動したいと思うようになりました。商社については「自分たちの自由な発想で楽しいプログラムを生み出し将来に豊かさを齎す」というコンセプトが共感できました。
  • 国際機関でもNGOでもなく、利益を追求しながらも途上国を支援する商社ならではの手法や利点があると思います。オーガニック栽培への移行の苦労や農薬の被害について初めて知りました。
  • 消費者はコットン製品を使用する責任について考えなければならないと思いました。コットン以外にも途上国の誰かを犠牲にして作られた物を先進国の人が何も知らずに使っている状況が沢山あると思います。資金援助よりも、実際に現場を人間らしい生活を構築する手助けが必要だと思いました。
  • 今までの開発支援の形で自分にしっくりくるものが無く悩んでいましたが、今日の話を切欠に企業の立場から「開発」を「援助する」という形に興味を持ました。これから勉強していきます!

ビジネスを通じた開発途上国の可能性について、今後皆さんに探っていただけたら嬉しいです。長尾先生、国際基督教大学の皆さん、どうもありがとうございました!